「傘のことは気にしないでください。私が勝手に押し付けただけですし…」
「でも、そのせいで俺は大丈夫だったけど、あんたは濡れただろ?」
「えっ。あっ……まぁ…」
確かにそれは事実だから、口ごもってしまう。
濡れただけじゃなく、風邪もひいちゃったけどね。
「その借り、返したからな」
えっ?
ん?
いつ?…………今でしょ?
私が考え込んでいると、目の前の人ははぁーっとため息をはいた。
「お前、陸と雅となんかあっただろ?
本当は泣いてるクセに、雨でごまかしたってバレバレ」
…………。
もしかして、私が緒方くんたちといるのが気まずいこと、察してくれたの?
それで連れ出してきてくれたのかな?