「あっ…!」
私は、校門にもたれて傘をさしている人を見て、びっくりする。
緒方くんと雅先輩のことで、ショックを受けた、この前の雨の日。
その時、私が勝手に傘を押し付けてしまった人だ。
すごくかっこよくて、背が高くて、私はその人を見上げてしまっている。
「……?なんで泣いてんの?」
男の人は、眉をひそめながら聞いてきた。
頬に触れてみると、確かに目から涙が溢れていた。
「……いえ。これは、雨です…」
「……ふーん。まぁ、いいけど。
これ、あんたに返しに来た」
そう言って差し出された傘。
「あっ!それ、私の……」
この可愛い傘は、確かに私のものだ。
私が勝手に押し付けたものなのに、わざわざ返しに来てくれたんだ…!
「……ありがとうございます!」
これで、近くのスーパーで傘を買わなくて済む。
私はペコッと頭を下げた。


