ドキドキとしながら、玄関で上靴を履きかえる。
チラッと背の高い緒方くんを見ると、私の視線に気づいた緒方くんが、ニッと嬉しそうに笑ってきた。
そんなことに、いちいち胸がキュンってする。
「あれ?……陸?」
背後から声が聞こえた瞬間、なんとなくだけど嫌な予感がして。
外から聞こえる雨の音が、さっきよりもひどくなった気がした。
「……雅」
予想的中。
目の前の緒方くんは、私の後ろを見て目を見開いていた。
私も振り返って見ると、そこには雅先輩がいた。
「今から帰るの?あたし、傘忘れちゃって……。
今日、時間あるなら一緒に帰らない?」
ニコニコした笑みで、こちらに近づいてくる先輩。
少しだけ、冷たい目で見られる。
思わずうつむいてしまった。
「あー、わりぃ。俺……」
緒方くんがなにか言いかけた。
「陸の傘にいれてくれる?」
でも、雅先輩はその言葉を遮る。


