「陸…。どうしよう……あたし、翼に嫌われちゃった……」
「えっ。……翼?」
〝翼〟という名前に、眉をひそめる緒方くん。
環ちゃん達の話からして、それはたぶん、雅先輩の彼氏。
「翼に……もう無理って言われて……。
あたし、どうしよう」
今にも泣き出してしまいそうな雅先輩は、緒方くんにギュッと抱きついて来た。
「……っ!」
胸がキュッと痛くなる。
「雅、泣くな」
「陸……怖いよ。……そばにいて」
雅先輩はそう言って、緒方くんの腕に自分の腕を絡ませる。
そして、チラッと私を見てきた。
そして、口元が笑った気がした。