「えっ。緒方くんは、教科書どうするの?」
緒方くんは1番後ろの席で、隣の席の人がちょうどいない。
だから、見せてくれる人もいないし、私に貸しちゃだめだと思う。
「俺は寝るからいい。
だから、お前は早く俺の前の席に戻れ」
…………。
「……はい」
そんなこと言われたら、何も言えなくなっちゃうよ。
あれ?
な……なんか、
青ざめた田中くんが、ものすっごく離れてしまったんですが!!
まぁ、いっか。
「緒方くん、ありが……」
もう一度後ろを振り返ってお礼を言おうとしたけど、
机に顔を伏せて、寝ようとしてる緒方くんがいた。


