…俺? 「潮のこと……考えて……描いた…の……。」 そこまで言うと 先輩は手で顔を覆って俯いた。 耳まで赤くなっている。 あの時から 俺の思いがちゃんと通じてた―――。 先輩………陽奈の心の中に ちゃんと、俺が居た。 もう、絶対に離さない。 「………陽奈。」 覆っていた顔を 上げる。 火照る顔をいっそう照らす、 オレンジ色の夕日。 俺は 一回彼女を見つめて ゆっくりと唇を重ねた。 ふたつが ひとつになる 瞬間。 その 空のオレンジが 重なる影をも照らしていた。