ドキドキドキドキしながら受付を済ませ順番を静かに待つ。

平日の昼過ぎのせいか、お腹の大きな女性が思ったより検診を受けに来ているようだ。

「・・・・・・」

ユウは肩身が狭そうに、待ち合い席のソファの隅に座った。
ユウは周りに座っている、もうすぐお母さんになる彼女達を見渡しながら思っていた。

<もし・・・妊娠してたとしたら・・・・・・赤ちゃん産みたいな・・・ケンチの赤ちゃん欲しいカモ>

穏やかで優しい表情をしている彼女達を見ていると、なんだかそんな気持ちになってきたのだ。

<ケンチはまだ学生だけど、ワタシが働いていけばきっとなんとかなるだろうし・・・。まぁ、できちゃった婚になるけど、赤ちゃんができたんだったらケンチはきっと喜んでくれるはずだし・・・結婚だって考えてくれるはず>

少しだけユウの顔がほころぶ。
そんなユウを優しい表情の看護婦さんが診察室へと案内してくれた。
産婦人科なんて初めてのユウは心臓がさっきよりもドキドキバクバク激しく脈打つのが自分でも感じられた。

くるりとイスを回しコチラを向いたのは、優しそうな顔したオジサン先生だった。

「どうしました?」

静かに優しいトーンで話し掛けてきた。

「あ・・えっと、二ヵ月くらい生理が無くて・・・」

モジモシ恥ずかしがりながらユウが答えた。
「最近性行為はしましたか?」

直球の質問がぶつけられ、ユウは恥ずかしそうに小さな声で答える。

「・・・はい、あ・・でもあの・・・えっと・・・・ちゃんと・・その・・・・避妊はしてました」

「ん〜、じゃとりあえずベッドに横になってもらって調べてみましょうか」

ユウはオジサン先生に言われるがまま、側にある飾り気のない無機質なベッドに乗り、横になる。するとオジサン先生はユウの服をめくり、腹部を露出させて触診してからジェルを塗り、機械で調べ始めた。



数分下腹部辺りを調べていたオジサン先生がユウの腹部に付いたジェルを拭き取りながら呟く様にユウへ告げる。

「・・ん〜妊娠はしてないみたいだね〜」

その言葉を聞いて、ホッ・・と胸を撫で下ろす思いでユウはベッドから起き上がり、またイスに座った。
おじさん先生は、次に、ユウのアゴの下や喉を触り、軽い口調で呟く。