「じゃあ、珠美いい子で待ってるんだぞ」



「子供じゃないもん!」



お兄ちゃんはいつも子供をあやすように私に言う。
それに怒って頬を膨らませるとお兄ちゃんは笑いながら私の口の中の空気を出させようと頬を押す。



「頬が膨らんでるぞ、珠美。じゃあ、日曜日な!珠美に会わせたい奴も連れてくるからな」



そう言って私の頭を撫でるとお兄ちゃんの温もりは離れて行って白い扉の方に歩いて行って扉の外にお兄ちゃんは消えて行く。



「…………慎、お兄ちゃん……っ」



白い部屋の中にまた私は一人になる。
それがいつも寂しくて仕方なかった。





寂しさを紛らわすためにいつも白い布団の中に包まり目を閉じて家族の顔を頭に思い浮かべる。




そうすれば、私を微睡みの中に連れて行ってくれるから……。
夢の中なら一人じゃないから。