「さて、と」


立ち上がるカルツ。
窓に向かっての発砲。窓ガラスは割れ、その音を聞き付けた輩がこの部屋に向かって来る。


「ミナナ、おいで」


「おいでって、私は犬か何かですか」


「どちらかと言えば、猫だね」


心底嫌そうな顔をするミナナを担ぐ。猫じゃなくて荷物じゃないかとの申し出をする前に、部屋の扉が開けられた。


同時に響く爆音。
響く前に、カルツは既に宙を飛んでいた。


「っ……」


三階からのダイブ。心臓が裏返る気分の悪さも一瞬。ごうごうと燃える三階を見た。


「アクションスターか何かか、あなたは」


「スターなら、もっと綺麗に着地するよ」


と言うカルツは、ミナナの下敷きになっている。


「ミナナ、あの時よりも重くなったね」


「食事提供をして下さる人がいましたから」


カルツから離れ、濡れた外套を捨てる。単に走りにくいとした行為だが。