彼がヤンデレになるまで



「これはこれで、目立つな」


あるもの全てが、パーティードレスとはこれ如何に。


機能性よりきらびやかさ、毎夜パーティーでも開いていたに違いない。


あまり目立たないシンプルな物を選んできたつもりだが、いざこうして並べると、どれも首を傾げてしまう。


「……」


とりあえず、これか。と“猫”は、青色のビスチェドレスを手にとる。スリット深いし、走るときに邪魔にならなそうとした考えによる決定事項。


この上から男物の外套でも着ればいいかと、“猫”が試着の全体像をイメージしていれば――カルツが入ってきた。