「どうして、泣いてるの…?」



どうやら、私は涙を流しているみたいだ。

…人間じゃないのに、変だ。




「………ッ」


でも、次から次へと涙は止めどなく流れ落ちていく。




「わた、私は……」


彼が私に一歩近づく。


「…うん」


先を促すように、けどゆっくりでいいよ、と言ってくれてるようにも感じる足取りで更に距離を詰めてくる。





「私は………っ」



ダメ!やっぱり死神だなんて、言えない。


でも、これだけは。



「私は、これから先もあなたの側にいたい…」




あなたを死なせたくない。



正直な気持ちだった。



私は、死神。

彼は、死の対象者。




こんな気持ち、ターゲットに抱くなんて…


死神失格だ。




「じゃぁ、側にいればいい」


そう言って、彼は私の涙を指で掬う。





『死神の心得』を忘れるなよ、今のお前を見てると……

その時、ネロの言葉がふと甦ってきた。

からかってくることもあったけど、なんだかんだでいつも心配してくれてたネロ。



私が今抱いてる想いは、そんなネロを裏切ることになっちゃうのかな…。