皆はあたしが刺されると思っていたのだろう。

刃物を蹴り上げたことと男の名前を呼んだことで唖然としている。


「美紀......さん?俺、俺!!」

そう言うと、声を押し殺しあたしの腕の中で泣いてしまった。


「大丈夫だよ。あたしが守るから」





そう、理玖は黒蝶の下っ端なのだ。


「皆さん、あんな事してすいませんでした。」



泣き止んだ理玖は、その場にいた皆に謝った。


「あたしからもお願いします。理玖を許してください。きっと何か理由があったんです。」


あたしはまだ立てない理玖を支えながら、2人で頭を下げた。