『君は、亜紀じゃなくて美紀なのか?』


「落ち着いてよ玖龍。」
たまらずあたしはそう口にした。


『なら美紀の全てを僕のものにするまでだよ』


東が電話を睨んでいるのが分かる。

なんで?

でも今はそれよりも

「どういうこと?」


『美紀の家族とやらを毒牙が預かった。返して欲しければ、僕の妻になるんだ。』



「ふざけんなよ!!誰を拐った?!」
あたしは殺気をだだ漏れにしながら我を忘れて叫んだ。



『たしか...龍弥(リュウヤ)とか言ったかな?コイツも美紀と一緒に出掛けていたからね』


出掛けただけで、拐った?ふざけるな。