「二宮さん。ちょっと…いいかな?」
「へ…?」
あたしに、用事……?
何だろうと思いつつ、優香を見るとニンマリと笑っていた。
「ほら、優葉くんが言ってるんだから行ってきなよ」
「う、うん…?」
あたしは意味がわからず、とりあえず優香に言われるがまま宇都宮くんについて行った。
―――そして、ついた場所は裏庭だった。
なんでこんなところに……?
「あの、二宮さん」
「は、はい……」
なんだか久しぶりの“さん”付けにくすぐったさを覚える。
女の子は名前で呼んでくれるし、男子は名字呼び捨てだし…。不思議な感覚。
「おれ……」

