お米入れてた鍋は沸騰させちゃうし、玉子焼き作ろうとして焦がしちゃうし、野菜切ろうとして自分の手を切りそうになるし……。
あたし、料理が壊滅的にだめらしい。というかだめだ。
「作ろうとしてくれるのは嬉しいんだけど、あすなが怪我したら元も子もないでしょ?」
「や…作れると思って…」
「うん。でもあすなが怪我したらおれが痛いから、できるようになったらにして?」
「……はい」
またさらっと人が赤くなるようなことを言うこの人に、あたしは心臓が持たない。
おまけにこの体勢…、ドキドキしない方がおかしい!!!
左手に持っていた包丁をまな板の上に置くと、油断していたあたしはすぐに抱き竦められた。
…え。え、えええっ!?

