「両方とも単身赴任でそれぞれ海外と日本回ってるから居ないよ」
「……え、親御さんすごい人?」
ちょいちょいと手招きされて近付くと家の中に入れられ、ぎゅっと手を繋いでくる。
風邪を引いてるせいか少し、あつい。
「んーん。普通の会社員?まぁ、格はいいかもね」
「そう、なんだ……」
やっぱそれすごいんじゃ…?そんなことを思いながら部屋の中へ連れられて行く。
えっと…、この人風邪引いてるのに入ってよかったのかな?ていうか、大人しく寝てなきゃだめじゃない…?
「実際、あんま帰って来ないから一人暮らしみたいなもんだよ」
「兄弟は?」
「おれひとりっ子」
ソファーにすとんと座らされて、宇都宮くんを見るとニコニコと笑っていた。
…さみしく、ないのかな…。

