隣のきみ【企画】




エレベーターを降りて右手の奥が、宇都宮くんの家…だっけ?


手汗はすごいし、唇は震えるし…もうだめだ。いますぐに帰りたい。


…なんてこと思ったってもうここまで来ちゃったんだから、後には引けない。


もう、なるようになれ。


そんな意気込みでインターホンを押した。




―――ピーンポーン…



「……」




し…静か…。もしかして、だれも居ないのかな…?そうだとしたら、あたしすっごくタイミング悪くない!?!?


あたしは静寂が嫌で、引き返そうと後ろに1歩下がったときガチャと鍵の開く音が聞こえた。




「はーい…?」


「あっ…」




上下スウェットで、額には冷えピタを貼って出てきた宇都宮くん。


すごくしんどそうでほっぺが、赤い。




「……え、あすな…?」


「えっ…と、あの……」