「(お、親御さんとかきっと居るよね…?うわあああっ、絶対だめだ!!絶対テンパる…!!)」
いやもう今の時点でテンパってるんだけど。めっちゃ緊張するのなんで。
そんなことを悶々と考えながら歩いていたら、宇都宮くんが住んでるマンションを通り越しそうになった。
「(ああ、ここだ。…えっと、8階…だっけ?)」
ぐっ、と唇を噛み締めてエレベーターに乗った。
どくんどくん、と波打つ心臓。ああ、今にも破裂しそう…。
まずさ、宇都宮くんに会ったらなんて言えばいいの?絶対「何でお前ここにいんの?」ってなるよ…。
いやいや、その前に「何で家知ってんの?」ってなるに決まってるよ…!!
がたん、とエレベーターが8階で止まり扉が開く。
「…(何もしてないのに疲れた…)」
はぁ、と息を吐いてからエレベーターを降りた。

