「(……だから、ずるいってば…)」




あたしはそれを握り締めたまま机に突っ伏した。


こんな不意打ち…ずるい……。




「あすな?何寝てんの。プリントー」


「あ…うん、ごめん」




優香から回ってきたプリントを受け取って、手の中にある紙切れを見つめた。


ちょっとずつ、宇都宮くんのことを知っていってるような気がする。


かわいいけど、実は小悪魔なところとか。男の子なのに字が綺麗だったりとか。いつも寝てたりとか。


誰に対しても、笑顔、だったりとか……。


よく考えれば、知らなくもなかったことがたくさんあって頭が混乱しそうになった。




「(いろんな宇都宮くん……)」




でも、もっと知りたいと思ったりもした。


こんな感覚はじめてで、こういうのが“恋”っていうのかなぁ…なんて思ったりして。