人間の汚い部分だけをふるいにかけて、ろ過して、さらに色濃く抽出して。

どろどろ、は、していない。
白く柔らかな布地にさらっと纏わり付いて、じわじわと染み込んできて、そうして二度と落ちなくなる。

そんな汚れに、侵されていく。
こころも、からだも。


まだコドモだったわたしには、それはあまりにも。

あまりにも、残酷で。




「……友達がね、今日髪を切って来てた」

「ふうん?」

「長くて綺麗だったのに、バッサリ。彼氏が、短い髪の方が好きなんだって」

朝、教室ではにかみながらそう言っていた小柄な彼女の顔を思い浮かべる。

頬は桃色。唇の紅は熟してつややか。――胸やけするほど甘く恋する、17歳。