『し、き…っ四季!!』
ローテーブルの横に転がる彼女の姿が見え、名前を叫ぶ。
飛び込むようにして駆け寄り抱き起こすと部屋の中の甘いにおいに気付いた。
ウィスキーの香りだった。
『おい、四季…っ!?』
『平良くん、四季はっ?…四季!!』
『しきちゃん…?きゃーーーっ!!』
後からやってきた彼女の両親の悲鳴が響いた。
名前を呼ばれた彼女は着ているワンピースと床のカーペットを赤黒く染め上げ、抱き上げられた身体は粘土のように重くぴくりとも動かなかった。
瞼の閉じられた顔はかたく、口元がなにかで汚れていた。
母親が足をもつらせながら彼女の元へ来た拍子にぶつかったローテーブルから、カラになった酒の瓶と中身のない大量の薬のシートが床に散乱した。
『きゅ、救急車!!救急車呼んでください!』
『わ、わかった…!』
『し、しきちゃんっ…あぁっ四季ちゃんっ四季…!!』



