私のばか、どうして忘れていたんだろう?

ああは言っていても、きっと、健吾さん期待していたよね……

また自分の気持ちのいい加減さを思い知らされた気がして、私は自己嫌悪に陥ってしまう。


……とりあえず、この花束は大切にしなきゃ。


「これ、花瓶に活けますね」


私は気を取り直してそう言い、キッチンに駆けて行った。

そして包装を解き、何も考えずにバラの茎に触れてしまい……


「痛っ!」

「――棘に注意して……って、遅かったか……」


慌てて健吾さんが来てくれたけど、私が指先を傷つけてしまった後だった。

そこからすぐに真っ赤な血が溢れてきて、私はなんだか泣きそうになってしまった。

せっかくのプレゼントで怪我するなんて、あげた方は気を悪くするよね……


「貸して」


ぐい、と手首を掴まれて、気が付けば私の指先は彼の口の中。


「あ、あの……っ」


軽く吸われた傷口が、健吾さんの熱であたたまっていく。


「……血が止まらないな。手を高く上げて」

「はい……」


彼の口から解放されたことにほっとし、それに心臓より傷口を高くしておくのは私も聞いたことのある血の止め方だったから、言われた通りにした。

すると……


「健吾さん、何を……!」


彼は何故か私の部屋着のボタンに手を掛け、服を脱がせようとしていた。