(四)
彼と初めてデートした遊園地での待ち合わせ。
五分前行動の私を上回る、十分前行動の彼と熱いハグをかわし。
「合い言葉は?」
「季沙名大好き」
「逸樹に間違いなしですね」
彼を笑わせてみる。
「普通、合い言葉言って確認した後に抱きしめるんじゃないの?そもそも、合い言葉あるなんて初めて聞いた」
「取り決めもしていない合い言葉を言い当てるあなたが凄いですよ」
私の欲しい言葉をくれる彼は遠目から見ても、あいつとは間違わない。
「克己から何かされてない。俺とあいつ、別々のアパートに住んでるから」
「特にないですよ。逸樹の『俺、刑務所行きになっても構わない』が効いたのでしょう」
「うわー、改めて言われると恥ずかしいセリフだね」
「嬉しいセリフですよ。逆に、逸樹は何もされてないですか」


