「離せ、バカ逸樹(いつき)!このクソ女に、分からせてやんだからよ!」 「なにを分からせるって言うんだ!“克己”がこうなるように仕向けたんだろうっ!」 取っ組み合いの最中の会話で理解する。 昼からおかしかった克己に対して思わなかったわけではない。 記憶喪失だの人格障害だのハリウッドメイクだの、そんな馬鹿馬鹿しいことではなく、“より馬鹿馬鹿しくなる現実”があるではないか。 「双子……」 答えを出すと同時に、腹部を殴られた“彼”がその場に倒れ込んだ。