「何してんだ、てめえはっ!」
髪を引っ張られた。
むしる勢いで。現にぶちぶちと何本か頭皮から抜かれた。
首が引き伸ばされ、眼球すらも反転しそうな気持ち悪さを覚えたのに。
「どういうことだよ、おいっ!クソ女!」
“彼”を見た瞬間、血の気が引いた。
“いつもの彼”。怒っている印象しかない、最低な彼氏だが――なんで。
「な、に……っ、やってんだよ、お前!」
同じ顔が、私の前にもあった。
後ろで髪を引っ張る“彼”を離そうとする“彼”。
自由になった身で二人から距離を置くも、頭は混乱したままだ。
同じ顔が、姿が、同じ人物なのに争って――


