「最低なんだろ、俺」 「だから、そうなる前に――」 好きと思わせた気持ちが薄れる前に、彼の望むことがしたい。 「この先きっと、もう、あなたのような人には会えないだろうから」 女の悦びとやらを味わってもいいのかもしれない。 好きな人に、抱かれてみたい。 そんな、世間一般からしての“すっごい幸せ”を感じてみたいんだ。 「季沙名……」 ややあって、彼の足が進む。 ホテルだなんて初めてだ。お化け屋敷ほどではないが、薄暗い照明の廊下を歩き――いざ部屋へと扉を開けた瞬間。