「結構、ズバッと来るな」
「記憶を取り戻したら、自身の胸を物理的にズバッとやりたくなりますよ」
もっとも、彼がこのまま――優しいままでいるかは分からないが。
「あなたが優しいと思える日が来るなんて」
人生、何があるか分からないな。
「前の俺と今の俺、どっちがいい?」
「100人が100人、同じ答えになることを聞きますか」
「季沙名の意思(答え)が聞きたい」
「……」
そんなのに、何の意味があるのか。
聞きたいのに、自答してしまった。
「今の……さっきみたく笑うあなたが――」
肝心なところで途切れたのは、「うおわっ」と声を出してしまったから。
季沙名っ、とぎょっとした彼が私の腕を掴んでいる。
倒れる一歩手前、足元見れば――段差。


