何より願うは、綺麗な笑顔



「結構、ズバッと来るな」


「記憶を取り戻したら、自身の胸を物理的にズバッとやりたくなりますよ」


もっとも、彼がこのまま――優しいままでいるかは分からないが。


「あなたが優しいと思える日が来るなんて」


人生、何があるか分からないな。


「前の俺と今の俺、どっちがいい?」


「100人が100人、同じ答えになることを聞きますか」


「季沙名の意思(答え)が聞きたい」


「……」


そんなのに、何の意味があるのか。


聞きたいのに、自答してしまった。


「今の……さっきみたく笑うあなたが――」


肝心なところで途切れたのは、「うおわっ」と声を出してしまったから。


季沙名っ、とぎょっとした彼が私の腕を掴んでいる。


倒れる一歩手前、足元見れば――段差。