「人はすぐに可哀想って言うでしょ?本当に可哀想な人は可哀想なんて言われたい訳ないじゃん。可哀想だなんて簡単に言っていいわけないじゃん。
可哀想って?自分が同じ経験をしたことがあるわけでもないのに、どうして分かるの?なんで人の苦しみを見て人は泣けると思う?結局、全てを自分に重ねるからだよ。もし自分だったらって、でもそれって同情でしかない。そんな気持ちで本当に誰かを救うことなんて出来ない。その人の苦しみはその人の苦しみなんだから。理解することなんか出来ない。救えるのはそんな想いじゃない。世の中の常識だから助けてあげる。これも違う。結局、人を救うのは自分の意思。理由もこじつけも、綺麗事も、周りからの評価も、常識も、関係無い。なんとなく、それが一番信頼できる。だから、あなたは本当に優しい人。」



彼はやっぱり、
無表情を崩さなかった。



だけど、静かに私の言葉を聞いていた。


「ふーん。まぁ、興味ないよ。」


こんな愛想のない返しが
何より信頼できる気がした。