あの日は雨だった。 本格的に梅雨いりした金曜日の午後。 私は何もかもを、あの教室に放ったままで 初めて学校を途中で抜け出した。 中三の夏。 これまで学校をサボったことはなかった。 何があっても行ったし 来たのだから帰るまでは我慢だ、と言い聞かせて堪えてきた。 だけどあの日、 私の中で何かが弾けたんだ。 窓に叩き付けられて弾けて広がる雨粒のように。