美しいけど冷淡な貴方へ送る花



通りすぎて行く人達が
平日のまだ学校のある時間に
制服姿で何も持たないで
雨に濡れて歩く私を
奇異な瞳で見つめる。


そんな視線に気づかないフリをして

ずっとずっと歩き続けていたら、
いつしか人が誰もいない
ハイツばかりが並ぶ集合住宅についていた。


近くには大学。

きっと、住んでいるのは大学生ばかりなんだろう。


レンガのタイルの壁のハイツは妙にお洒落で
立ち並ぶハイツとハイツの間を
またレンガの道が続いていく。


真ん中には、いくつかの花壇とベンチ。

そんな中で
ふと私の視界に止まったのは、
鮮やかに咲く、紫色の紫陽花だった。


雨が降るから、咲いてる花。

雨がなかったら枯れてしまう花。


梅雨にだけ、咲く花。