♪ンフフー フフフフゥー

 
流れる景色を車窓から眺めなら、もっさんが鼻歌を歌っている。


足の指の股に出来たマメは痛そうだったけど、もっさんがご機嫌なのが解った。

 
「・・・貼り絵のアイディア浮かんだ?」

 
そう訊ねると、「家帰ったら、早速作るさ」と言って目を閉じた。

 
隣からもっさんの寝息が聞えてくると、僕もうつらうつらとして眠くなって来た。



 
 
いつか君の幸せを本気で喜べる時が来るまで、もう少し好きでいさせてくれないかな。
 
 
思いは決して口にはしないから。

 
切ないけれど、不器用な僕は簡単に気持ちを切り替えられないんだ。

 
瞼の裏に浮かんできた彼女に僕は夢の中でそう訊ねていた。




リビングのドアを開くといつもの笑顔が迎えてくれた。

 
「草さん、おかえり」

 
映画を見ていたようだ。


ソファにちょこんと座って、マグカップを両手で持った彼女がこちらを振り向いた。

 
「草さんにね、郵便が届いてたよ」

 
テーブルの上に置いてあった郵便を彼女から受け取る。