ふとそこへ、弟がやってきた。

「あーっ!」

と、私の前にあるものを見て、嘆きの声をあげる。

「なにやってんの、僕のおまんじゅうー!」

その嘆きに、私は事実を答えてやった。

「暇だったから、つついたり潰したりしただけよ」

「わー、もー、なんかアンコ外に出ちゃってるよー! バカー!」

「あ、つぶあんだったわよ」

「そんなの聞いてないよー! もー!!」

おやつの壊死に悲しむ弟をよそに、私はとりあえず、つまみ出した小豆を口に放り込み、手を洗うことにした。

もう手が、おまんじゅうのせいでべったべただ。

まったく、気持ち悪い。