With a smile

30分ほど走った、緑の多い街にその店はあった。

真っ白な外観に、白い天使の像、手入れの行き届いた庭には赤やピンクのバラが咲き乱れ、ケーキ屋さんというよりヨーロッパの豪邸みたいだ。

店内もアンティークで統一されていて、ケーキの甘い香りと共にバラの香りが漂っていた。

「やっぱ男一人では無理だよなー」

入った瞬間に独り言みたいにつぶやいた建都さんに、笑ってしまった。

確かに女の子好みでかわいい。

「何食べよっかなー」

メニューを見ながら眉間にシワまで寄せて選ぶ顔は、別の意味でかわいい。

一通り見て選んだのはパティシェのおすすめの『ケーキの盛り合わせ』。

小さめのケーキが5点にシャーベットとフルーツが配色良く並んでいる。

今日も食べる気満々だ。

私も真似をした。