With a smile

「いいえ。後はなにかやる事ありますか?」

さっきから全然進んでいない書類を覗き込む。

「ううん、もういいよ。ホントはこれほのかちゃんにやって欲しいくらいだけど」

手の中でボールペンをくるっと回した。

これって言うのは自己評価書、自分で自分の仕事ぶりを申告するもの。

私は入ったばかりだから無いけれど、少し前に配られていたのを覚えている。

給料やボーナスアップ為にみんな必死なのに、建都さんは苦手なんだ、まだ2、3行しか書いていない。

「じゃあ、戻りますね」

私に書かせてくれたら1枚じゃ足りないくらい書けるのにな。

トゥルルル・・・。

「今度埋め合わせするから」

そう言って、また元気な声で携帯を取った。