「おはようございます」

半分カラ元気で開けた扉の向こうに、建都さんがデスクに座っていた。

「おはよー」

私にあいさつまでした、あの笑顔で。

なんでなの?

今日に限ってなんでいるの?

・・・大丈夫、大丈夫、ぐっと手を握り締めて呪文を唱える。

「あれ?珍しいね、建都くんがいるなんて」

出勤してきた高島さんが、私の後ろで澄んだ声を上げた。

「事務処理たまっちゃってさー。苦手なんだよね、全然終わんないの」

書類をひらひらさせて見せた。

「似合わないよねー、机に座ってるの」

「そうだろー、俺もそう思う」

人ごとみたいな言い方につい笑ってしまった。