With a smile

「分からなくなったらすぐ代わるから」

電話の前で緊張している私の隣で高島さんが待機している。

ほんと優しいなあ、高島さん。

トゥルルルル、トゥルルルル・・・。

早速鳴った電話に、言われた通り2コール目で出た。

「はい、五十嵐建設 管理部です」

何度も練習した言葉がすらっと言えた。

『あ、建都です。・・・あれっ、もしかしてほのかちゃん?』

うそっ、建都さん?

「はいっ、そうです。お疲れ様です」

お客さんではない事に少しホッとして、初めて聞く建都さんの電話の声に嬉しさがこみ上げた。

『もう電話出てるんだ』

「はい、でもこれが初めての電話なんです」

『そっか、そっか。じゃあ、成功させないとな。見積のFAXお願いしたいんだけどいいかな?』

「はい」

ずっと握っているボールペンに力がこもる。