With a smile

「兄さんじゃなく、オレを見てくれてありがとう」

私のおでこに建都さんのおでこを当てた。

「兄さん・・・」

兄さんっていいな、なんか。

カイさんの事を兄さんって、建都さんの事を弟って・・・。

建都さんが急にプッと吹き出して鼻が微かに触れた。

「ハハハッ、そこじゃないよ引っ掛かるとこ。兄さんが言ってたよ、全然気付いてないって」

そう言えば、カイさんが別荘で何か・・・

再び建都さんが私を包み込んだ。

さっきよりも優しく、愛しむ様な腕に体を預ける。

「渡さない、たとえ兄さんにだって」

真剣な声で言った後、少し照れくさそうに笑って、

「伝えるだけでいいって思ってたんだけど、そうじゃなかったみたいだ」

と付け足して、また笑った。

私も照れて少し笑った。