With a smile

「ホントにっ?・・・えっ、なんで?」

心底驚いた顔をしていた。

「なんでって、好きだからです。理由なんて・・」

言い終わる前に、建都さんの腕の中にいた。

抱きしめられるというより、捕まえられてるみたいに強い力だった。

「伝えるだけでいいと思ってた。知ってもらうだけで十分だと・・・」

次第に腕の力が弱まり、じんわりと建都さんの温度が移る。

太陽の輝きが増し、お尻の下の砂が少しずつ熱くなっていった。

こんな日が来るなんて思ってなかった。

叶うはずのない恋だとずっと思っていた。

信じられない事態、なのに私は不思議なほど落ち着いている。

心臓がすごい速さで動いている、と思ったのは私ではなく建都さんの鼓動だったし、頭上高くで鳥が鳴いたのもはっきりと聞こえた。

予想外の事で現実感が無い、とはちょっと違う気がする。

こうしていると、今までが間違っていて、今の建都さんの腕の中にいるのが、自然で正しいように感じてくる。

もちろん自信なんてカケラもなくて、うぬぼれてる訳でもないけれど、もともとこうなる予定だった、図々しくもそんな風に思ってしまった。

あまりにもしっくりき過ぎていて。