With a smile

え?違うの?

ショックであんなに泣いたのに?

水面が映ってキラキラした建都さんの丸い目が、?でいっぱいになっている。

噂話の中で誰かがいい加減に言ったんだろう。

それを信じて泣いた自分と、目の前の建都さんがなんだかおかしくて、私の口からは笑い声が漏れた。

「何笑ってんのー?オレかなり真剣なんだけど」

と言いながら建都さんもつられる様に笑っていた。

私達の笑い声は、海からの風に吹かれて空高く飛んでいく。

私が今までに流した涙、嫉妬の気持ち、どうにもならない恋のジレンマ、全てが蒸発して、風に乗って消えていく。

そして、やっと一番言いたい事が言えた。



「私も、好きです。建都さんが好き」



さっきまでとは温度も匂いも違う風が吹く。