With a smile

カイさんの匂いだった。

私はカイさんに抱きしめられていた。

前に初めて契約を取った時の、感情に任せたハグとは違う、全てを包み込むような優しい優しい力で。

「あんなウジウジした奴なんてさっさと見切りつけて、アメリカに来い」

耳元で響いた声は、いつものクールでもイジワルでもなく、熱を帯びていた。

それって・・・?

その意味を考える間も無くパッと離れると、笑顔で言った。


「海で、建都が待ってるぞ」