With a smile

やっと落ち着いてくると、片付いた部屋の隅に置かれたスーツケースが目に入った。

明日帰っちゃうんだ、あっという間だったな。

「1ヶ月間、ありがとうございました」

「なんだよ、急に・・」

ゴホッ、ゴホッと咳き込み、コーヒーを流し込みなんとか治めた。

そんなにむせなくても・・・、確かに唐突だったけど、本当にそう思っている。

「感謝しています。全然知識なくて役に立てなくて、最後まで迷惑かけてすみません。だけど、私はすごく楽しかったし、世界が広がったような気がしてます。
カイさんの下で働けて本当に良かった。
ありがとうございました」

言い終わると、カイさんは、口元に当てていたコーヒーカップをゆっくりと置いた。