With a smile

「なんだよその顔は?ひどいぞ、目のとこクマかー?」

ルームサービスのコーヒーを注ぎながら、いつもみたいに笑った。

バカにされるのは慣れたけど、全然っ、笑えない。

「おつかれ」

コーヒー2つと、私にはケーキを置いた。

「いただきます」

コーヒーを一口すすって、ホテルメイドの小さなケーキを少しだけ口に入れた。

お皿にもキレイにデコレーションされて、添えられたフルーツも宝石みたいに輝いているけれど、味わう余裕なんてない。

「あっ、あれはどうなんですかっ?アトリエからの動線で・・・、あ、庭にも行けるんですよね、あと、あと・・・」

小さいくせにずっしりと重い右手のフォークが無駄に宙をさまよった。

めいっぱい詰め込んだ頭がどんどん混乱してきて、もう何が分からないかも分からない。

「とりあえず、落ち着け。分からない事は全部教えるから。ケーキ食べたら落ち着くって、マッキーが言ったんだろ?」

あぁ、言ったかも、カイさんの為の言葉だったんだけど、確かに言った。