あれから、昼過ぎまで寝ていたあたしを夏希が起こしてくれて、退屈な午後を過ごし、放課後をむかえた。
「ゆ~いっ!」
「きゃっ!?」
帰り支度をしていたあたしに、
後ろから抱きついてきた夏希さん。
……し、心臓に悪い……
「ど、どーしたの?」
「聞いてよ!シオンったら、酷いんだよ!!今日、新しくできたケーキ屋さんに行く約束してたのに、忘れて先帰ったんだよ!?」
“もうありえない”とぶつぶつ言っている夏希だが、顔は笑ってるから本気で怒ってるわけじゃないみたい。
「……ケーキ?」
「そう!駅の近くに新しくできたんだけど……優依、一緒に行かない?」
「えっ…」
手を顔のまえで合わせ、お願いと言わんばかりに夏希は目を輝かせ、あたしを見つめている。
