「…あ、あった!」
ドア付近で、大きな声をだした侑真の右手には、水色のスマフォが握られていた。
…女の子用のケータイ?
ここは僕たち以外に来ないはずだけど…
「誰の?」
「んーと、画面にさっきの子と親の画像があるよ」
スマフォを見ながら、侑真がそう言った。
「大翔、どうする?」
「………貸せ」
侑真から受け取り、ケータイを大翔にわたす。
「………」
大翔は黙ったまま、スマフォを数秒間見つめ、自分のズボンのポケットにしまった。
「届けに行くの?」
「……いや、あっちから来るまで預かる」
そう言って立ち上がり、大翔は部屋を出ていった。
出ていく瞬間、大翔が心なしかフッと笑ったような気がした。
~ 将生 side 終 ~
