ビビるあたしなんて気にしてない黒髪さんは、まだニコニコと笑っていて。 「うわっ」 気づいたらあたしは、黒髪さんの横を無我夢中で走り去っていた。 「あ、ちょっと待って……!!…って、大翔?!」 「えっ……」 全力で走る途中、『大翔』という名前を聞いて角を曲がる寸前、あたしは振り返った。 「………」 何も言わず、ただ走り去るあたしを切な気にみつめている赤髪の男。 けれど角を曲がり、姿がみえなくなる。 一瞬のことだったから特に気にせずあたしは来た道を走った。