あたしは、なかなかカナタの顔から目が離せない。




あまりに造形が整ってるから、幼馴染だってゆーのに、これまで何百回、いや何千回も見てきた顔なのに、どんだけ凝視しても見飽きない。






あたしはストローを咥えたまま、ぼーっとカナタを見つめてしまう。






そこで、カナタがふいと目を上げた。






「………みーちゃん」





「へっ!?」







不意打ちに、声が裏返ってしまった。





カナタはじとっと目を細めて、あたしを見つめている。







「なにいつまでもぼけっとしてんの。


あと10秒以内に勉強再開しなかったら、絶縁するからね」









………ぜつ、えんっ!?




ぜつえんって!!





縁を絶つ、ってこと!?








「おにーっ!!!」








鬼だよっ、あんたは!!!





16年の付き合いのあたしを、こんなことで絶縁するなんてっ!!






カナタがふふん、といった擬態語の付きそうな顔で笑う。







「カナタの冷血漢っ!!」







あたしは即座にストローを口から離し、問題集に鞍替えした。