心底、不思議。~毒舌カナタとひねくれみーちゃん~

…………やだ。





やだ、どういうこと………?





これ、なんか、見たことが……ちがう、聞いたことがあるシチュエーションだ。




………あ、そうだ。




トミタハルコだ。




トミタハルコが、カナタに迫ったとき。






それと同じことが、いま、目の前で繰り広げられている。








「………俺、言ったよな。



みゆと別れたら、生きていけないって」








加賀さんが絞り出すような声で言った。






あたしと別れたら、生きていけない?






………確かに、言ってた。




この前、横断歩道で会ったとき。







「あれ、本気だよ。




俺、みゆと別れるくらいなら、死ぬ。」







加賀さんの声は、驚くほど落ち着いていて、決然とした響きに満ちていた。







「付き合ってくれないなら、死ぬ。」







ナイフの先に力がこめられて、首の皮膚にぷつ、と食い込んで、血がうっすらと滲み出てきた。








あたしの目は、瞬きも忘れて、その様子を呆然と観察する。