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「美遊〜、風呂あがったぞ〜。
お前も早く入れよ〜」
「ん〜」
洗面所から届いてきたお兄ちゃんの呑気な声に、あたしはテレビを見ながら答える。
「なんだよ美遊、その乗り気じゃなさそーな返事は」
リビングにやってきたお兄ちゃんは、髪を拭きながらあたしの頭を小突く。
「だってー、最近さむいからさぁ、お風呂めんどくさいんだもん」
「はぁ? なんで寒いと風呂が面倒なんだよ?」
「だって、洗面所さむいから、着替えるのいやじゃん」
「お前、まだ10月中旬だぞ?
今から寒がってたら、真冬はどうなるんだよ?」
「いやーっ、考えただけで寒いっ!
ずっと秋ならいいのに〜」
「あほか。
早く風呂はいれ」
そんなやりとりを聞いていたお母さんが、「あ」と声を上げた。



