心底、不思議。～毒舌カナタとひねくれみーちゃん～

そのとき。



背後に近寄る足音が聞こえてきた。




何気なく振り返る。






「………あ」





思わず、声が出た。






―――――加賀さんだった。






ひそかに絶望するあたしには気づかず、加賀さんが声をかけてきた。







「………みゆちゃん。


ひさしぶりだね」






「………あ、は、はい………どうも」






加賀さんは歪んだ微笑みを浮かべていた。






「ぐ、偶然ですね……」






とりあえず、そんな挨拶をしてみる。




加賀さんはさらに一歩、近づいてきた。





あたしは一歩さがって、助けを求めるようにカナタの方を見る。




カナタは今にもこっちに渡ってきそうに前のめりになっていたけど、あいにく信号はまだ赤のままだ。



走り過ぎていく車が多くて、戻ってこれるわけがない。






その間に、加賀さんがすぐ目の前に来ていた。