* 夜ご飯を食べた後、あたしは自分の部屋に上がった。 ………カナタ。 あたしの帰りが遅いって聞いて、あたしを探しに来てくれたんだって。 大事な本がたくさん入った鞄を、迷いなく投げ出して。 全速力で走って。 カナタが走るのなんて、何年見てないだろう………。 ーーーそれなのに、カナタは走ってくれたのだ。 息が切れて、顔が火照るほどに。 ………あたしのために。 あたしはベッドに上がって、立てた膝に枕をのせて抱えた。 お日様のにおいのする枕に顔を埋めながら、カナタのことを考える。